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「好きだから」「応援したい」が参加理由。会員2万人を超えるヤマハ発動機「ファン株主クラブ」の魅力

個人による株式保有は、近年ますます増加しています。新NISAの導入や株式の分割、単価引き下げなど、理由は様々ですが、個人名義の株主数は調査開始以来、最高人数に達しているそうです。(※2024年7月2日付、日経新聞)
モノづくりやサービスを通じて、世界の人々に多様なモビリティ体験を提供するヤマハ発動機は、株主割合(人数ベース)の98%が個人株主。しかしながら個人の株式保有率が7%ほどであったことを背景に、2018年に相互的なコミュニケーションを目的にした「ファン株主クラブ」を発足しました。現在増加傾向にあるという「ファン株主」とはどんな存在で、会員制というクラブでは一体、どのような取り組みをしているのか。
 
ファン株主になるメリットなども合わせて教えてくれたのは、同社コーポレートコミュニケーション部の中村 貴雄(なかむら たかお)さんと、告中 芽伊(つげなか めい)さんです。


ユーザーであり、ファンでもあり、そして株主

-ヤマハ発動機の「ファン株主クラブ」について、活動内容などを教えてください。

告中さん 「ファン株主クラブ」は、当社の株式を100株(1単元)以上保有されている株主さまが入会可能な会員制のクラブです。入会費や会費などは無料のファンクラブで、試行錯誤しながら様々な会員特典をご用意しています。「ヤマハ発動機を応援したい」「ヤマハ発動機という会社が好き」と思ってくださる方々が集まり、2018年の発足から現在までで、2万人を超える規模に成長しました。これは、約20万人の個人株主の1割が入会してくださっていることになります。

ヤマハ発動機コーポレートコミュニケーション部の告中 芽伊さん

中村さん ファン株主クラブの会員になっていただいた方には、ヤマハ発動機に関する情報をメールマガジンでお送りしています。当社が出展する展示会などのチケットプレゼント企画や、ファン株主クラブ限定イベントも、年に4〜5回ほど開催しています。
 
イベントは会場の関係もあってどうしても参加者数が限られるため、毎回5〜6倍の倍率になってしまうことが心苦しいのですが、できるだけ多くの方にご参加いただけるような工夫や、会員であればどなたでもご覧いただけるかたちでイベントレポートを公開しています。ありがたいことにファン株主クラブの会員さまが増えているので、今後はもっとオンライン企画や、できるだけ幅広い方々に楽しんでいただける企画を考えていく予定です。

ヤマハ発動機コーポレートコミュニケーション部 中村 貴雄さん(ファン株主クラブ発足時からのご担当)

告中さん 会員の方にお送りしているメールマガジンでは、当社の最新情報やメディア情報をまとめていて、公式note「海の時間です。」のコンテンツをお知らせすることもあります。テレビで当社が特集される時などに事前にお知らせすると、「メルマガで番組を知って見ることができました!」といった反響をいただくこともありますし、noteでは社員紹介のコンテンツがあるので、ファン株主の皆さまにもっと当社の「中のこと」も知ってもらいたいと考えて、お知らせしています。

中村さん チケットプレゼントでいうと、横浜の「インターナショナルボートショー」や、東京・大阪・名古屋で開催された「モーターサイクルショー」などの入場チケットをそれぞれ300枚ほどプレゼントしました。また以前「東京モーターショー(現:Japan Mobility Show)」の当社ブースをご案内する見学イベントでは、一般公開日前の見学に加え、一般のお客さまは入れない展示ブース内での記念撮影なども行いました。株主さまの中にはオートバイがお好きな方も多いので、喜んでいただけました。
 
2024年は、まずこの「Yamaha E-Ride Base」の公式オープン前に、ファン株主の皆さんを一足早くご案内したんです。eBikeの試乗や、180度に広がる大型スクリーンでJリーグ・ジュビロ磐田の試合を観戦しました。OB選手の福西 崇史さんが来てくれた上に、試合もジュビロが勝ったこともあって、非常に盛り上がりましたね。
 
それと2019年以来となる工場見学も開催できました。一つは船外機を作っている、静岡の袋井南工場です。株主さまの中にはボートのオーナーという方もいらっしゃいますが、そうでない場合、船外機をご覧になったことがない方も多く、実物の大きさや形を見ていただく機会は大変重要です。船にセットした状態の展示もあるので、どのように使われているものなのか、具体的に体感いただけたと思います。

告中さん 他には、オートバイに乗って障害物を越えていく「トライアル」という二輪競技があるんですが、宮城県にある当社グループ会社「スポーツランドSUGO」で開催された全日本トライアル選手権シリーズの第7戦にも、ファン株主の皆さまをご案内しました。ガイドツアー付きですので、初めてでもお楽しみいただけたと思います。それと毎回盛況なのは、親子でご参加いただけるワークショップですね。

左:全日本トライアル選手権 右:エンジン分解組み立て教室

相互の理解を深く、広く。ファン株主とのコミュニケーション

-「ファン株主クラブ」を始めるに至ったのは、どんな背景があったのでしょうか。

中村さん 人数では以前から、株主数のほとんどが個人株主だったのですが、個人の保有比率は7%ほどでした。そのため、もっと多くの個人投資家の方に長期的に応援していただき、私たちのことを深く知っていただきたい。そして私たちも、株主の皆さまがどんなことを考えているのかもっと理解したい、というのがファン株主クラブ発足時の思いでした。
 
もちろんファン株主でなくとも株主優待もありますし、3年以上保有いただくと優待が有利になる制度もあるのですが、クラブ会員になっていただくことで、事業や製品に関することをより深く知っていただけると良いなと思います。
 
おかげさまで個人の方の株保有率も上がり、特に2024年1月に株式の3分割を実施した後は、ファン株主クラブの会員数も一気に1.5倍ほどになりました。単純に株価が3分の1になることから投資がしやすくなり、ファン株主の条件である100株も手にしやすくなったんですね。

告中さん 例えば株主総会などでも株主の方との接点はありますが、やはりそういった場では気軽に話し込むことは難しいです。しかしファン株主クラブを作ったことによって、直接皆さまのお声を聞ける機会ができたことは、私たちにとってもありがたいことですね。

-クラブ会員の株主からは、どんなご意見があるんですか。

中村さん イベントなどではたくさんの方から、「参加できて嬉しかった」といった、交流の機会があることを喜んでもらえる声が多いです。オートバイやボートなど、当社の製品を愛用くださっている方でも、株主になることで一層距離感が縮まるんだと思います。
 
また逆に、以前から株主でありながら「ボートや二輪車には乗ったことがない」という方ももちろんいらっしゃいます。当社には様々な製品・サービスがありますので、どなたでも参加しやすいイベントを考えており、当社の考えや製品に対する姿勢をご理解いただく機会になっているようです。お時間と交通費をかけてイベントに来ていただけるお気持ちも、とても嬉しく思います。

告中さん 以前二輪車の組立工場にご案内した際も、ファン株主の皆さまの“ヤマハ発動機愛”がとても強く感じられて、私たちの方が圧倒されるようでした。あと先日も、すごく嬉しいことがあったんです。
 
ある株主さまが、以前参加したファン株主クラブの親子ワークショップがとても楽しめたことをきっかけに「奥さまやお子さまも株主になった」、と教えてくださいました。ご家族みんなで当社を支えてくださるなんて、まさに私たちが目指すかたちの一つとも言える、理想的なお話を伺えた瞬間でした。

「株主優待がきっかけで、お子さまも個人株主になってくださったそうなんです。すごいですよね!」と告中さん。中村さんも「株主優待にも携わっているので、二つの意味でとっても嬉しい出会いでした」と、担当者としての喜びを語る。

中村さん あと私が印象的だったのは、以前ファン株主の皆さまと当社の取締役との懇談会を開催した際の、意見交換の時間です。お一人の方が取締役に対して「株主優待ではなく、配当金の単価を上げるかたちで還元を受けたい」とご意見をくださったんですが、そしたら別の株主の方から「いいえ、私は優待の方がいいです」という意見が挙がり、はからずも、経営層との会話が、多様な意見交換の機会に広がりました。あの展開は、とても印象的でしたね。

もっと身近でありたい。社会課題解決の活動へ関連も検討

-ファン株主クラブの活動において、今後の展望はどんなことをお考えですか。

告中さん ありがたいことにファン株主クラブの会員数が増えて、アンケートでも毎回満足度が高まっていることを実感しています。一方で課題感も感じていますので、これからはさらにご期待に応えるような施策を提供していきたいです。
 
イベントの企画もですが、情報の発信も機会を増やし、内容も工夫していきたいですね。反響をいただけると、こちらの声がちゃんと届いていると感じられて嬉しいですし、やはり相互のコミュニケーションは大切にしたいと思っています。
 
中村さん まだ2025年のイベント内容などは未確定ですが、ヤマハ発動機としては今後も、環境問題や社会課題の解決につながるような事業を進めていくので、ファン株主クラブの活動も何か関連していくことがあるかもしれません。
 
また、ここ「Yamaha E-Ride Base」でのイベントはこれからも開催したいと思っています。当社製品をお使いになったことがない方にとって、一番身近に体験できるものは、電動アシスト自転車です。免許もいらないですし、横浜という自転車活用推進計画のある街での試乗は、当社製品の良さを知っていただくのに最適なきっかけだと思います。

取材・文:やなぎさわまどか
撮影:内海 裕之
企画・編集協力:ハーチ株式会社・IDEAS FOR GOOD編集部

今回の取材は、ヤマハ発動機公式note「海の時間です。」編集部の皆さまにもご協力いただきました。ありがとうございました。

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さまざまな企業がそれぞれに工夫をし、社会課題解決のためイノベーションをおこしています。皆さんが生活者として商品を購入するだけでなく、企業の株式を購入することで、社会課題に取り組む企業を応援することができます。株主として経済的価値を享受しながら、社会的価値も生み出せるのです。社会を良くしようとしている企業を応援してみる。あなたのできる一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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