わたしたちにも、企業にとっても大切な水資源
7月に入り、そろそろ夏休みの予定を考えている時期かもしれません。7月17日は海の日、7月は海の月間です。また8月1日は水の日、水週間(8月1日~7日)が設定されており、様々な水に関するイベントが開催されます。今回は日本に生活する人にとって豊富であることが当たり前と感じる「水資源」と企業の取組について取り上げたいと思います。
実は潜在的なリスクを抱える日本の水資源事情
世界では水資源問題は深刻で、人口増加、経済発展、気候変動などの要因により引き起こされています。そんな中、日本は島国であり、水道水がそのまま飲むことができる世界でも数少ない国の一つであり、日本に住むわたしたちにとって、水資源問題はどこか他人事のように思えるかもしれません。しかし、実際は潜在的なリスクを抱えています。
水輸入国の日本
日本の水輸入率はなんと77%にも上ります。何かの間違いじゃないの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
水資源というと飲み水や、炊事や洗濯に使う生活用水を思い浮かべる人も多いと思います。実は世界の水資源取水量の約7割は農業用水、2割は工業用水であり、生活用水は1割程度に過ぎないのです。食料自給率が低い日本はバーチャルウォーター(仮想水)の比率が高くなるのです。
渇水が発生している
水は豊富な印象がある一方で、実は渇水が発生しています。渇水は家庭生活や社会活動に大きな影響を及ぼすだけでなく、工業用水や農業用水の不足により大きな被害へとつながります。
蛇口をひねると当たり前にでてくる水ですが、実は当たり前ではない、とても大切な資源なのです。そして生活者のわたしたちにとって大切な水資源は、企業活動においても極めて重要な資源なのです。
各企業の取組
以前の記事では、「身近な企業の環境問題への取組」として、ニチレイのマングローブ植樹プロジェクト「生命の森プロジェクト」、マルハニチロの循環型社会の実現と海洋プラ問題の解決をめざす、業界初「漁網to漁網リサイクル」の取組を紹介しました。
しかし、先ほどもお伝えしたように水資源利用の約2割は工業用水であり、特に化学や金属鉱業、素材業界にとって水資源問題は事業活動において非常に重要な課題であると認識されています。普段なかなか身近に感じにくい業界ですが、各企業の水資源問題への取組をみてみましょう。
東京応化工業
半導体フォトレジスト首位。液晶材料、関連機器に展開。マテリアリティの一つに「将来世代を見据えた地球環境の保全」を掲げており、環境領域の一つに資源循環の促進を挙げ、水リスクに対する取組として国内水使用量を2030年までに2019年比15%削減を掲げています。同社グループの製品および製造工程において水は欠かすことができない大切な原料であることから、生産活動による水消費を必要最低限に抑制し、排出水質の維持・向上を図っています。工業用水や市水の異常使用のモニタリングを常時行っているほか、各設備の見直しを実施し、使用量の削減に取り組んでいます。大きな熱源を擁する製品検査装置の冷却水に着目し、冷却水を循環させる工夫により水使用量を削減しました。
メック
電子基板製造用薬品。銅表面処理剤が主力。水は同社製品に欠かせない主要原料の為、原料に使用する水の使用量削減はできません。しかし、原料用途以外において設備洗浄回数の適正化、容器自動洗浄装置の導入、基板処理ライン作業での水使用量削減に取り組んでいます。また水源保護と地域社会貢献のために「メックの森づくり」に取り組んでいます。
三菱マテリアル
#ふやす
アルミや超硬工具など非鉄最大手。総合材料メーカー。同社環境方針の一つに、水資源の有効利用・保全が含まれています。冷却水や洗浄水等、事業活動のあらゆる場面で使用する水の再利用や水の循環利用等を通じて使用量の削減に取組んでいます。CDPの2022年評価では気候変動では「A-」、水セキュリティでは最高ランクとなる「A」の評価を初めて取得し、Aリスト企業に選定されています。
わたしたちにできることは?
企業が水を大切な資源と捉え、様々な取組をしていることをご紹介してきました。では、私たち生活者にとってできることは何でしょうか?健全な水循環を守るために、日常生活において取り組めることが沢山あります。日頃から小さな心がけをしてみませんか?
まとめ
一見すると水とは関係ないように思える業界にとっても、水は大切な資源です。水がなくては生命維持ができないわたしたちと同様、企業にとっても大切な資源であり必要不可欠なものです。それゆえに水使用量をゼロにすることは無理でも、様々な工夫により水使用量削減に取り組んでいます。わたしたちも水の大切さを再認識し、水の恵みに感謝して大切に使っていきましょう。
記事内で「#ふやす」は投資を通じて応援できる上場企業です。今回、サステナブル・ラボの執筆記事では「水資源の保全・管理に貢献している企業ランキング」と題し、企業のサステナビリティ貢献度を独自に分析・数値化したランキングを紹介します。こちらもご覧ください
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