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環境や社会の再生につながるお金の循環をつくる「ReFi」、知っておきたい仕組みや注目の事例・日本の取り組みも


環境や社会の課題解決と経済的な豊かさを両立するには?

気候変動対策やソーシャルビジネスなどへの関心が高まる一方、環境問題や社会問題の解決に取り組むことと経済活動を両立できているケースはまだまだ少ないのが現状です。

経済的な豊かさを追求することが、環境問題や社会問題の解決にもつながる良い仕組みにはどのようなものがあるのでしょうか。

金融の分野では、環境問題や社会問題に取り組む企業に投資をするESG投資やインパクト投資などの取り組みが広がっていますが、テクノロジーの分野でも、環境・社会に対して良い取り組みをしている企業やプロジェクトにお金が循環する仕組みを創出しようとする動きが出てきています。

ReFi (Regenerative Finance)は、ブロックチェーンを活用して、環境問題や社会問題に取り組む人たちや事業などに経済的なインセンティブをもたらす新しい仕組みです。具体的には、搾取(環境破壊)よりも保存や再生(環境保全)の方が合理的にメリットがある状態をブロックチェーンを活用して作り出そうという考えです。

 ReFiが解決を目指す分野

ReFiはブロックチェーン技術を用いて下記のような問題を解決しながら、地球環境や社会を再生していくことを目指しています。

気候変動問題の解決や生物多様性の回復

カーボン・クレジット(企業が森林の保護や植林、省エネルギー機器導入などを行うことで生まれた温室効果ガスの削減効果を他の企業などとの間で取引できるようにする仕組み)の取引にブロックチェーン技術を活用することで、温室効果ガス排出の削減や気候安定化、森林保全につなげるプロジェクトなどを推進する。

まちづくりや地域活性化

限界集落でNFTを活用して、まちづくりや地域活性化につなげることや、低所得者向けの金融サービスの推進により、格差や貧困といった経済活動の社会的影響を改善することを目指す。

環境や社会の再生につながるReFiの事例

Refiを活用し環境や社会の再生を目指す取り組みが国内外で生まれています。

世界の事例

気候変動問題の解決や生物多様性の回復に向けた新しい取り組み方として、世界で行われているReFiの事例を紹介します。

  • KlimaDAO

KlimaDAOは地球の環境問題を解決するために、カーボンクレジット市場の透明性を高め、取引をより効率的にすることを目指したオープンソースのコミュニティです。
貢献度の高い企業やプロジェクトなどにインセンティブを与えることで市場の効率化を促進することに尽力しています。
環境保護活動家や起業家、Web3.0のデベロッパーなどからなるグループが、DAO(自律分散型組織:誰もリーダーではない組織)として集まり運営していることが特徴です。

  • Nori

Noriはブロックチェーンを活用して、炭素除去にかかわるカーボンクレジット取引ができるマーケットプレイスです。大気中の二酸化炭素を収集して土壌に返す再生農家をはじめとするサプライヤー(供給者)と、脱炭素に積極的に取り組む企業や個人(購入者)をつなぎ、サプライヤーが販売する炭素除去プロジェクトのNFTを個人や企業が購入できる仕組みとなっています。炭素除去量は民間認証機関のAster globalやSCS globalなどの独立した第三者機関が検証し信頼性を確保しています。また、下記のような注目度が高いNFTプロジェクトと提携し、二酸化炭素除去のNFTを購入できるのが特徴です。

STEPN(ステップン) :ランニングやウォーキングなどの運動で仮想通貨を稼げるゲーム
 The Sandbox(ザ・サンドボックス):「スクウェア・エニックス」や「エイベックス・テクノロジーズ」など大企業が参入する、メタバースが舞台のNFTゲーム
Rarible(ラリブル):NFTの閲覧や調達のほか、制作や販売までをワンストップで行うことができるマーケットプレイス


  •  MOSS

MOSSはアマゾン地帯の森林破壊や、土地利用変化に関連する温室効果ガスの排出量を監視する団体です。独自のアルゴリズムを使って、森林伐採や動植物のモニタリング・土地利用変化のリアルタイム情報を提供しています。カーボンクレジット・トークン「MCO2」を発行し、カーボンオフセットを希望する個人や企業がMCO2を購入して森林保全に取り組むことができます。またAmazon NFTコレクションを販売し、売上をアマゾンの熱帯雨林保護のために使用しています。こうした取り組みにより、MOSSはこれまでに約1億5,200万本の木を保護しています。

  • Flowcarbon

Flowcarbonはカーボンクレジットをブロックチェーン上にのせてトークン化し、売買できるようにすることで、誰でもアクセスできる流動性を持った透明性のあるカーボンクレジット市場を提供するプラットフォームです。
WeWork創業者のアダム・ニューマン氏が設立したFlowcarbonは、既にベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitzの暗号資産部門(a16z crypto)から7,000万ドルの資金調達を完了させており、カーボンクレジット市場がスタートアップビジネスとしての可能性を秘めていることを示す事例として注目されています。

  • Return Protocol

Returnプロトコルはブロックチェーンを活用して個人や企業、コミュニティが、気候変動問題の解決に取り組むプロジェクトを気軽に楽しく支援できるようにするプラットフォームです。
個人や企業がCO2削減への貢献度を可視化できる仕組みを採用しています。プロジェクトを支援して付与されたNFTは貢献度(自分が削減に貢献したCO2量)に応じてレベルとそれに応じたクリエイティブが変化するゲーム要素が含まれています。また、同様のプロジェクトに資金提供するメンバーとコミュニティ内で繋がることもできます。

 日本の事例

日本でもReFiを活用した取り組みが始まっています。気候変動問題の解決と地域活性化に取り組む事例を紹介します。

  •  MORI NFT

MORI NFTでは、NFTの購入や所有を通じて、誰もが現実の森のCO2吸収量を維持・向上する森林整備プロジェクトをサポートすることができる仕組みを構築しています。
現実の森林整備プロジェクトに紐づいて発行される「MORI」というNFTを購入してプロジェクトを支援する仕組みとなっており、森が整備されCO2吸収量が増えると、増加量に連動したiGreenというNFTが付与されます。受け取ったiGreenは、NFTマーケットプレイス等でカーボンオフセットを行いたい第三者に売ることもできます。

  • 山古志村DAO

山古志村DAOはNFTを活用して、新潟県山古志村にデジタル村民を増やすことを目指す共同コミュニティです。電子住民票の意味合いを含むデジタルアート「Nishikigoi NFT」を購入すると、山古志デジタル村民として限界集落である山古志村の今後について投票したり、まちづくりプロジェクトを立ち上げたりできます。
これまで、まちづくりや地域活性化はその地域の住民が中心となり取り組むものでしたが、現実とデジタルの世界を融合した仕組みにより、世界中の誰もがまちづくりに参加できます。初回のNFT販売では350人のデジタル村民が誕生しました。

 まとめ


ブロックチェーンを活用した新しい金融の仕組みであるRefiを通して地球環境や社会を良くしていく取り組みを紹介してきました。

マイボトルやマイバッグを持つといった日常のアクションだけではなく、カーボン・オフセットの取り組みに参加したり、温室効果ガス削減に取り組む企業や団体と繋がったり、デジタルでまちづくりに参加したりと、個人でもファイナンスの面からできることがたくさんあります。

まずは気になるプロジェクトや仕組みを自分でも調べてみて、環境や社会のためにできることから始めてみてはいかがでしょうか。

編集協力:ハーチ株式会社・IDEAS FOR GOOD編集部

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