GXで私たちの生活はどう変わる?国内外のGX企業の取り組みや私たちができることも
いま世界で脱炭素化に向けた流れが大きく加速しています。2020年に菅義偉元首相が「2050年までのカーボンニュートラル実現」を宣言したことは、まだ記憶に新しいかもしれません。
私たちの生活で欠かせない電気などのエネルギーは、これからどのように変化していくのでしょうか。さらに、私たちの暮らしにどんな関わりがあるのでしょうか。
今回は、いま世界的に進むGX(グリーン・トランスフォーメーション)の最前線と日本の動向に注目します。
※カーボンニュートラル:排出した温室効果ガスの量から森林保全や植林などによる吸収量を差し引き、排出量を実質的に(±)ゼロにすること。
GXとは
GX(グリーン・トランスフォーメーション)とは、カーボンニュートラルの実現を目的として、企業のビジネスモデルや産業構造、社会経済のシステム全体を変革していこうとする取り組みのことです。「トランスフォーメーション(Transformation)」は英語で「変革・変容」を意味します。
これまで環境保護活動と経済成長は、相反するものだと捉えられがちでした。しかしGXは温室効果ガスを排出しないグリーンエネルギーへの転換などを通して、環境保護の推進を経済成長につなげ、環境と経済の好循環を生み出すことを目指しています。
2022年2月に経済産業省は、GXを促進する取り組みとして「GXリーグ」の設立を発表しました。GXリーグはGXに積極的に取り組む「企業群」が官・学・金との連携で、GXにおいて目指す未来の社会像を議論し、新たな市場を創造するためのルール作りや実践を行ったり、温室効果ガスの排出削減のため、自主的に排出量取引を行ったりする場です。「GXリーグ基本構想」の公表後、2022年10月31日までに551社が賛同企業となっています。賛同企業一覧はこちら
GXのポイント
GXにおいて私たちが生活者・投資家としておさえておきたいのが以下の3つのポイントです。
1.GXは企業だけに求められることではない
GXは企業だけが取り組むものではなく、社会全体・地球全体に求められていることです。
産業構造や社会経済の変革には、私たち一人ひとりの商品購買・サービスの利用における選択や取り組みが欠かせません。GXを企業の成長戦略としてのみ捉えるのではなく、環境と経済をより良くしていくため、生活者・投資家としてどのような役割を担えるのかを考えていきましょう。
2.生活者が幸福であるためのGX
企業と官・学・金が協力してGXの実践を行う「GXリーグ」では、環境への貢献、企業の経済成長と同時に「生活者の幸福」が目標の一つとしてかかげられています。企業が提供する脱炭素商品やサービスの価値を通して、生活者は新たな価値を享受し、生活の充実度、幸福度を高めることにもつながれば、さらなる需要が生まれGXを加速させることになります。
3.これからGXに取り組む企業にこそ「応援」を
私たちにできることはGXの取り組みが進んでいる先進企業を応援することだけではありません。他社に比べてGXの取り組みが遅れている企業、現時点では環境負荷が高い企業であっても、グリーン企業へトランジション(移行)しようと積極的に取り組んでいる場合にはその活動を応援し、ポジティブな変化を促していくことが大切です。株主や顧客としての立場から、情報発信や対話を行うことも有効な手段のひとつです。
GXの国内外の動向と注目キーワード
このようなポイントをふまえ、企業の取り組みをよく理解しながら応援・投資を行うため、いま知っておきたいGXに関わるキーワードをご紹介します。
炭素の透明性
本当の意味でカーボンニュートラル、カーボンネガティブを宣言するためには調達先や輸送、製造、廃棄にいたるまでのCO2の排出量を計測する必要があります。持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)では、全ての企業がCO2排出量を計測し、明らかにすることで、商品・サービスにおける炭素の透明性を担保することを目指しています。このサイトでWBCSDのメンバー企業が紹介されています。
2040年までのカーボンニュートラルを目指し、配送やバリューチェーン全体のCO2排出「完全ゼロ」に取り組むAmazon。
製造の全過程でCO2排出量を最小限にすると宣言。再生可能エネルギー推進やエネルギー効率見直しを進める3M(スリーエム)。
カーボンネガティブ宣言
カーボンネガティブとはCO2の排出量と吸収量を相殺してゼロにするカーボンニュートラルからさらに進んで、CO2の吸収量が排出量より多い状態のことをいいます。商品やサービスを買えば買うほど、環境が再生されていく、そんなお買い物ができる日はもうすぐそこです。
カーボンリサイクル
分離・回収したCO2を“資源”ととらえて、素材や燃料などとして再利用することを指します。こちらもGXに向けた新技術として注目されており、2019年に資源エネルギー庁がカーボンリサイクル室を設置し、イノベーションを推進しています。
CO2資源のおもな利用先は、以下の4項目が考えられています。
①化学品:ウレタン、ポリカーボネート、バイオマス由来の化学品、オレフィンなど
②燃料:バイオ燃料、CO2由来燃料、ガス燃料(メタン)など
③鉱物:コンクリート製造品・製造物
④その他:海藻や海草を使用して海底にCO2を貯留する「ブルーカーボン」をはじめとするネガティブ・エミッション
今後、私たちが使う日用品で「炭素素材」のものに触れる機会が増えるかもしれません。
日本企業のGXの取り組み
GXというと海外での取り組みが注目されますが、日本でも積極的に取り組んでいる企業は多くあります。(記事内で「#ふやす」は投資を通じて応援できる日本企業、もしくはESG投資信託です。)
グリーンエネルギーやバイオマスECOカップ、植物性グリーン食材でCO2削減に取り組む日清食品ホールディングスの「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」。
#ふやすバイオマスプラスチックの一つ「パラレジン」の技術開発と普及推進でCO2削減を目指すユーグレナ、セイコーエプソン、NEC。
#ふやすCO2を排出しない水素ステーションの整備や、再生可能エネルギーの主力電源化、台湾の洋上風力発電を進めるENEOSホールディングス。
#ふやす
まとめ
気候変動という地球規模の問題を解決していくため、GXの取り組みは日々重要性を増しており、新しい技術や考え方も次々とアップデートされています。
私たち生活者も社会を構成するひとりとして、積極的に情報を集めて行動してみましょう。
省エネのためにこまめに電気を消す、再エネ電力に切り替えるなど生活の中でできることもたくさんあります。また、GXに積極的な企業の商品・サービスを利用することもGXをより加速させることにつながります。そして、GXに取り組む企業を応援するお金の使いかたも有効な手段です。
(参照:社会をもっと良くするお金の循環をつくる「Money for Good」)
企業の取り組みを一つ一つ調べることは大変かもしれませんが、GXに取り組んでいる企業に投資するESG投資信託の購入も、GXに取り組んでいる企業を応援する方法の一つです。まずはできることから始めてみませんか。
脱炭素化社会実現に向けた取り組みやイノベーションに貢献する企業に投資。三井住友DSアセットマネジメントの「イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド」
#ふやす気候変動ソリューションをテーマに掲げる世界の企業の株式に投資する、三井住友DSアセットマネジメントの「クライメート・ソリューション・ファンド」
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編集協力:ハーチ株式会社・IDEAS FOR GOOD編集部
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