2023年上半期に注目された、企業のソーシャルグッドな取組は?
2023年上半期といえば、なにがあった?
2023年上半期は国内外で、さまざまなトピックがありました。
ロシアによるウクライナ侵攻から1年が経ち、紛争が長期化するなか、2月にはトルコ・シ リア大地震が発生しました。一方で対話型のAIサービス「ChatGPT」が登場して、AIについての議論が活発になるなど、新しいテクノロジーの活用に注目が集まりました。
日常生活ではコロナ禍が明けてマスクのない日常に戻り、経済面ではさまざまなものの価格が上がるなかで、日本株が歴史的な水準まで上昇しました。
このような2023年上半期、世界では企業のどのようなソーシャルグッドな取組みが注目され、評価されたのでしょうか。企業のいろいろな取組事例をみていきましょう。
上半期に注目された、企業のソーシャルグッドな取組
AIで名画に命を吹き込み、アート×AI活用の可能性を表現するコカ・コーラの CMムービー「Masterpiece(マスターピース)」
#ふやす #つかう
コカ・コーラが制作した2023年のグローバルキャンペーン「Masterpiece(マスターピース)」のCMムービーは画像生成AI「Stable Diffusion」を使用して名画を動かすという意欲作で、視聴者からも大きな反響を得ました。
アンディ・ウォーホルの『大きなコカ・コーラ』、ムンクの『叫び』、ゴッホの『アルルの寝室』、フェルメールの『真珠の首飾りの少女』など、さまざまな時代の名画や彫刻が動き出す1分52秒のCM映像で、それぞれの絵画のタッチに合わせて描かれるコカ・コーラのボトルも見どころの一つです。
ほかにもコカ・コーラは、生活者が生成AIプラットフォームを使ってオリジナルのアートワークを作れる「Create Real Magic」というキャンペーンも行っています。AIを使うことで見たことのない世界に想像が広がるような可能性を感じさせます。
人工知能ならぬ「自然知能」が伝える、AIの想像を超える自然の創造性。ニコン・ペルーの「Don’t give up the real world.」
AIがイラストや映像の画像生成技術を大きく発展させているなか、ニコンは「自然の持つクリエイティビティがAIの想像を超えている」と伝えるインスタレーションを発表しました。
ニコンはこのプロジェクトを通して「AIにより、超現実的な世界を具現化することができたものの、私たちのそばには既に私たちを驚かせる自然環境があることを忘れてはいけない」「才能とクリエイティビティを持ち、素晴らしい映像を撮る写真家たちを支援したい」ということを表現しています。
Real world(現実世界)を諦めないで、という強い想いが感じられます。
トルコ・シリア大地震でトヨタが人道支援活動で総額100万ユーロを寄付し、感謝や称賛の声
トルコにあるトヨタグループの工場、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・トルコ(TMMT)は、2023年2月に発生したトルコ・シリア大地震の発生直後から支援活動に取り組みました。
NGOと連携しながら、地震救助隊を派遣して、捜索・救助活動にあたったり、食料、水、衣料、シェルターなどの緊急物資を提供したり、基金を設立したりといった活動を行っています。こうした人道支援の活動を支えるため、トヨタ自動車の40万ユーロを含め、トヨタグループ全体で総額100万ユーロの寄付を行ったことでトルコの方から多くのいいねを集めました。
ドイツのWWFが企業と協力して開発した、遊びながら「森の生態系を守ること」を学べるWhatsAppゲーム「Tree of Hope」
ドイツのWWFは自然保護をより身近に感じられるように、ヨーロッパの会話型コマース大手Charlesと協力して、世界初のWhatsAppアドベンチャーゲームを開発しました。
このゲームはエコ忍者が森を冒険しながら、自然の生態系とその住民を救っていくストーリーとなっており、遊びながら森の生態系が直面する危機や、それを防ぐためにできる行動とは何かを学ぶことができます。スマートフォンアプリWhatsAppのメッセージを介して一人でも、友人同士でもプレイすることができます。
バーチャルでのビーチクリーン活動が現実の海もきれいする、日焼け止めブランドカネボウALLIEのメタバース空間「BEAUTY UP ISLAND」
カネボウ化粧品の日焼け止めブランドALLIEは、2023年3月に国内最大級メタバースプラットフォーム「cluster(クラスター)」上で、常設のメタバース空間「ALLIE BEAUTY UP ISLAND~みんなで美しくなる島~」をオープンしました。
世界中からアクセスできるこの空間では、リアルでは体験できない仕掛けのあるバーチャルイベントの開催や、商品情報、最新ムービーなどの視聴ができるほか、バーチャル上で、海岸のゴミ拾い活動を体験することができます。バーチャル上でゴミ拾いをすると、特定非営利法人green birdの協力により、拾ったごみの量に応じて、実際のビーチもきれいにする仕組みになっています。
IKEAがイギリスの店舗で「ホームレスになること」を追体験できる「現実の部屋(リアルライフ・ルームセット)」を展示
#つかう
IKEAはイギリスの4店舗で、”あなたはここに住めますか?”というメッセージとともに、ホームレス状態にある人が一時的に滞在するシェルターを再現しました。通常のIKEAのモデルルームとは違って、狭く、暗く、不衛生なこれらの部屋は、すべて人々の実体験に基づいてつくられており、エピソードの数々も展示されています。
調査によると、イギリスでは208人に1人がホームレスを経験しているといいます。IKEAは店舗を通してこうした暮らしのリアルを広く伝えながら、ホームレスを支援する慈善団体Shelterと協力し、2030年までに50万人が自分の家で安心して暮らせるよう取り組みを進めています。
味の素冷凍食品、冷凍餃子を美味しく食べてもらうための「長年使い込んだフライパン募集」
味の素冷凍食品の冷凍餃子がフライパンに張り付いてしまう、というTwitterでの声から、同社は張り付かない餃子の開発のため、長年使い込んだフライパンを募集。1000以上ものフライパンが届き、フライパン販売会社からも「長持ちするフライパンの使い方」をTwitter上で紹介するなど、大きな話題になりました(現在は受付終了)。
調理検証の結果も早いタイミングで発表され、生活者のリクエストに真摯に応えようとする企業の姿勢に称賛の声が上がっています。また、モノを長く大切に使うということと美味しく食べるということを両立させる取り組みであり、フライパンを長く使うということにフライパン販売会社、こびりつく原因になりがちな冷凍餃子メーカー、生活者と多方面から向き合うきっかけとなりました。
ユニクロ、障がいや難病の子を持つ親たちからのオンラインサイトやTwitterでの声を受け、140サイズの子ども用ボディスーツを販売継続決定
ユニクロの大きなサイズの前開きロンパースが話題になりました。ユニクロ商品「KIDSコットン前あきクルーネックボディスーツ(半袖)」が190円と安売りされており、採算がつかず廃番になるのではないかと、この商品に助けられてきた障がいや難病の子を持つ親たちがユニクロのコメント欄に書き込み。
そうしたニーズを持つ当事者だけでなく、多くの人がその悩みや想いに共感したことでTwitterでも広く拡散され、ユニクロは「販売継続を決定しました」と発表しています。
ユニクロが掲げる「LifeWear」はあらゆる人の生活を、より豊かにするための服である、と定義しています。このような商品は他社品でもほとんど見つからず、家庭の中で自作することも多いのだとか。今回はまさにLifeWearを体現する英断となりました。
まとめ
「戦争や災害、生活危機などが起こるなかでも、AIなどの新しいテクノロジーを社会をよりよくするために活用する試みや、地震や紛争の被害地域をサポートする取り組みなど、ポジティブなニュースがたくさんあります。
そういったニュースを見かけたときに、SNSでいいねボタンを押したり、身近な人に話してみたりといったアクションを起こすことで応援したい企業の活動を後押しすることができます。
SNSで見つけたいろいろな企業の取り組みから、応援したいソーシャルグッドな活動を、シェアや日々の購買活動、投資など自分にできる形でアクションしてみてはいかがでしょうか。
編集協力:ハーチ株式会社・IDEAS FOR GOOD編集部
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