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グローバルニッチ企業のサステナビリティ!

この記事は2023年9月8日に日興フロッギーに公開された「グローバルニッチ企業のサステナビリティ!」を一部編集し、転載したものです。

皆さんは、ニッチな分野で世界的に存在感を発揮している日本企業が多くあることをご存知でしょうか?

そもそもニッチとは「隙間」を意味する言葉で、ビジネス用語としては大手企業が狙わない、狙えないような小規模あるいは参入障壁の高い事業領域を意味します。グローバルニッチで高いシェアを誇る企業とは、世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、サプライチェーンにおいて重要性が高い部材・素材などを手掛ける優良な企業と言えます。そこで今回は、世界になくてはならない「グローバルニッチ」企業のサステナビリティな活動を見ていきます。

オーエスジー、ねじ穴を加工する「タップ」で世界シェアNo.1

オーエスジー 」は、工作機械の先端に取り付けて金属を加工する工具を製造・販売している総合切削工具メーカーです。たとえば穴の内側にねじ山(めねじ)を成形する「タップ」、金属に穴をあける「ドリル」、金属を削って形をつくる「エンドミル」、丸い棒の外側にねじ山(おねじ)を成形する「転造工具」などを取り扱っています。

中でも、ねじ穴加工用工具のタップは、世界トップシェア30%強(※自社推計)を誇り、世界トップレベルの品質かつ競争力をもつ創業以来の主力製品です。近年は、航空機産業、医療産業、金型産業、IT・精密部品産業、エネルギー産業向けなどにドリルやエンドミルも着実にシェアを伸ばしています。

2030年までの長期ビジョンとして「世界のモノづくり産業に貢献するエッセンシャル・プレーヤーへ」という目標を掲げています。そして従来注力してきた自動車関連産業や航空機関連産業に加え、微細精密加工産業をはじめとして、成長が見込まれる半導体・5G産業、モビリティ産業、クリーンエネルギー産業、医療産業などで新規開拓を推進しています。また、これまでのM&Aによりグループ入りした会社とのシナジーの最大化や、収益性と事業効率の改善を行い、安定して利益を生み出せる企業体質の強化に取り組んでいます。

世界トップシェア30%強の製品タップの加工映像 出所:オーエスジー

持続可能な環境・社会へオーエスジーの挑戦「営農型太陽光発電所」

世界各国に生産拠点をもつオーエスジーは、愛知県東三河地域で、電力消費の大きい工具製造工場を稼働させています。その使用電力は大きく、工場敷地の太陽光発電、省エネ化だけではまかないきれません。そこで、地域の耕作放棄地を営農型太陽光発電所(※1)に変えて電力供給する企業と連携し、オーエスジー電力供給専用発電所を確保することで、2023年2月に製造工場への供給を開始しました。電力の地産地消はとても珍しく、中部エリア初の取り組みとなりました。

※1 営農型太陽光発電所:太陽光パネルの下で農業生産を行う発電所

これら施策によって年間2000トンのCO2排出量の削減が見込め、さらに2024年には年間2000トンを超えるCO2の削減ができる専用発電所を確保しています(※2)。そして育った作物は社員食堂や学校給食にて消費されたり、道の駅などでも販売しています。さらに、その取り組みを学校や多くの人に伝えることで、環境意識の向上の輪を広げることに寄与できるよう取り組んでいます。

※2 CO2 4000トン:杉の木約30万本が1年間に吸収するCO2量、東京ドーム76個分の森林に相当

また今後、2022年12月に設立した特例子会社(※3)オーエスジーアクティブを通じて、地域で不足する農業労働人口を補いながら障がい者の雇用創出をおこなっていく予定です。

※3 特例子会社:障がい者雇用の促進と安定を図るため、障がい者の雇用において特別の配慮をする子会社

オーエスジーは、カーボンニュートラル・労働人口減少対応・障がい者、地域の雇用創出・農業貢献・環境意識向上を、世界に広げ、みんなが笑顔になる持続可能な環境(Environment)・社会(Social)への取り組みに挑戦し続けています。サステナビリティにおいてもグローバルニッチのリーティングカンパニーとして活躍している会社の一つと言えそうですね。

トウモロコシの芽が育つオーエスジー太陽光発電所 出所:オーエスジー
笑顔のオーエスジーアクティブ社員 出所:オーエスジー

総合医療メーカー、ニプロ


ニプロ 」は、主に、医療機器やジェネリック医薬品(後発医薬品)、医薬品および医療用ガラス製品などの製造販売を手掛ける総合医療メーカーです。中でも、人工透析の際に利用されるダイアライザ(人工腎臓)は、国内シェアNo.1、世界においてはNo.2という高いシェアを有しています。また、医薬品受託事業(注射剤、経口剤、外用剤などの受託製造)においても国内シェアNo.1の実績を誇ります。

中長期的には2030年度連結売上高1兆円を達成するために「激動の時代にめげず、ユーザーニーズに応え、製品競争力・市場シェアともに世界トップを目指し、グローバルで地産地消の考えを推し進める」という経営方針を掲げて取り組んでいます。この中期経営計画を達成する上でも、ダイアライザの販売を更に拡大し世界トップシェアを目指しています。

主な医療機器製品 出所:ニプロ
主力製品ダイアライザ(人工腎臓) 出所:ニプロ

グローバルにおけるサステナビリティの取り組み~新興国における透析センター開設~

ニプロでは、中南米など新興国において、都市部から離れた地域に居住する患者のために郊外地域に透析クリニックを開設することで、患者が身近で透析治療を受けられるように取り組んでいます。また、東南アジアやアフリカにおいても、都市部に透析クリニックを開設し、質の高い治療の提供を実施しています。

タイに開設した透析センター 出所:ニプロ

工場における電力をCO2フリーに

ニプログループの一社であるニプロ医工株式会社における近藤工場では、2016年度より太陽光パネルによる自家発電を実施し、2021年4月以降は使用する電力のすべてを再生可能エネルギー由来の電力に切り替えています。

近藤工場 出所:ニプロ

今回取り上げた企業は、いま現在、世界に誇る高い技術力を強みとすることにとどまらず、将来を見据えた中長期的な企業の成長、まさに企業価値向上を意識した取り組みでもあります。本業に関するサステナビリティの取り組みに加えて、社会全体への貢献に取り組んでいるという観点から、ご紹介しました。

皆さんがこうした企業へ投資することは、グローバルニッチ企業の更なる活躍を応援することにつながります。

この連載では、環境問題などSDGsにまつわる最新動向を、毎回、ESGに取り組む企業の事例を取り上げながらご紹介しています。

著者 : SMBC日興証券 サステナブル・ソリューション部、 岡田 丈
引用元:日興フロッギー

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