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長崎県五島市から日本の未来を考える

百閒は一見に如かずということわざがありますが、新型コロナウィルスで外出規制を経験してきた今、実際に体験できることのありがたさを実感されている方も多いのではないでしょうか?証券会社においては各企業の調査を担当する証券アナリストも工場見学など現地視察を定期的に行う人は少なくありません。やはり現場で見聞きできることから得られることは大きいのです。先日Money for Goodではメンバーズ主催のツアーで長崎県五島市に訪問してきました。今回は長崎県五島市から日本の未来について考えてみたいと思います。


今、九州が熱い!

10月20日(金)~21日(土)の2日間にわたり、デジタルマーケティング企業でCSV経営サポート等に強みをもつメンバーズ主催のツアーに参加してきました。長崎県五島市の洋上風力発電やサステナビリティに力をいれる地元企業「金沢鮮魚」の訪問、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan Climate Leaders’ Partnership, JCLP)の共同代表であり、メンバーズの社外取締役である三宅香氏による講演「気候変動と世界と日本」に参加してきました。

ところで、その前に今、九州が熱い!ということをご存知でしょうか?TSMC(台湾積体電路製造股份有限公司、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー)の製造子会社JASM(Japan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社)が熊本に半導体製造工場をつくるというニュースをなんとなくでも耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか?

今まさに九州は40年ぶりの新工場建設ラッシュなのです。2022 年時点で約 1,000 社の半導体関連企業が集積しており、半導体製造において重要な「水」、「電気」、「労働力」、「港湾設備」など、レガシーを活用できる条件が整っていることに加えて、円安やデフレによるコスト競争力の改善、政府支援などを背景に、構造的な転換点を迎えていると考えられます。実際、ソニーグループ、ローム、SUMCO、京セラ、三菱電機など多くの企業が九州で設備投資を計画しています。

その背景にカーボンゼロに対する意識があるとも言えます。日本は四方海に囲まれた緑豊かな島国です。その中でも九州は天候に恵まれ、日照時間も長く、九州電力の半分52%がカーボンフリーの電力供給を達成しています。消費電力が大きい製造工場は海外投資家から厳しい目で見られるため、工場の再生エネルギー化は企業にとって喫緊の課題なのです。そういった点も九州での設備投資を後押ししているとも考えられます。そしてその九州においても長崎県五島市は日本発の浮体式洋上風力発電施設として注目されています。

日本発浮体式洋上風力発電「はえんかぜ」

長崎県五島市椛島周辺海域に設置されている、日本発の浮体式洋上風力発電施設「はえんかぜ」を見学、戸田建設戦略事業推進室浮体式洋上風力発電事業部プロジェクト推進部長の牛上敬氏の説明を伺いました。「はえんかぜ」は平成22~27年度の環境省浮体式洋上風力発電実証事業で、戸田建設などを代表とする受託者グループ「五島フローティングウィンドパワー合同会社」によって設置され、世界初のハイブリッドスパー型で、最大出力2,000kW(約1800世帯分)発電施設です。 

浮体式洋上風力発電施設「はえんかぜ」

周囲を海に囲まれた日本にとって洋上風力発電の導入は重要であり、2018年7月に閣議決定された「エネルギー基本計画」の中でも「陸上風力の導入可能な適地が限定的な我が国において、洋上風力発電の導入拡大は不可欠である」と位置付けられており、2050年のカーボンニュートラルを目指す上で洋上風力発電は不可欠な重要分野なのです。洋上風力には着床式と浮体式があり、遠浅の海が少ない日本においては浮体式への期待が高く、日本のエネルギーの自給率改善策として期待されています。

五島列島は海流の関係で多種多様な魚が生育し「魚の聖地」とも呼ばれていますが、近年磯焼け(海から海藻が消失する現象)が問題になっています。「はえんかぜ」導入にあたっては漁業への影響が懸念されていたそうです。しかし、実際に導入したところ意外な効果がみられたそうです。「はえんかぜ」建設後は浮体周辺に小魚が住みつき、小魚を捕食する魚やイセエビなど甲殻類も集まるようになるなど、人工の漁礁ができ、漁業にも良い影響がでているそうです。
 
訪問当日は若干天候が悪かったのですが、風を受け少し傾斜がある状況で稼働している姿を確認することができました。「はえんかぜ」は実際に導入され、稼働していて大きな期待を受けていますが、今後、更なる拡大にむけてもちろん課題がないわけではありません。発電効率を上げるため最近では風車大型化(8,000kwクラスではブレードが80m程度)が進んでいます。また、洋上風力の大きな課題の一つである送電問題など、海外と同様に洋上風力普及にむけて乗り越える課題は数多くあります。しかし、洋上風力発電が日本のエネルギー自給率改善施策の一つとして重要な施策であることは変わらず、今後も更なる注目テーマなのではないでしょうか。

地元鮮魚店「金沢鮮魚」のサステナビリティの取り組み

前述のとおり、長崎県五島列島は「魚の聖地」とも呼ばれ、海洋資産に富んだ場所です。しかし近年の気候変動などにより磯焼けなど藻場の消失が問題になっています。また食用には適していなく、市場価値が低い魚が捕獲されないことで、海中での生態系バランスが崩れ、磯焼けの原因ともなっています。そこで地元の金沢鮮魚(代表、金沢竜司氏)はそういった、磯焼けの原因となる未利用魚を原料とした魚醤油「五島の醤」を開発、販売をしています。また製造過程で出た絞りカスも農家などに提供し廃棄を出さない工夫も行っています。

金沢鮮魚の「五島の醤」

そして魚を一番よい状態で届ける「金沢仕立て」という独自手法を生み出し、配達から1週間以上経過しても刺身で食べられるといった工夫もしています。また海洋プラスチックを減らすため、配送用発泡スチロールを廃止しています。

こういった様々な取り組みを通じて、「人も海も豊かに」する新しい価値創造と環境改善に貢献しています。当日金沢代表からお話を直接お伺いしました。ご自身が東京で過ごした日々で感じたこと、離れて住む娘さんとのやり取りがきっかけで取り組んだ配送用発泡スチロールの廃止など、「人も海も豊かに」したいという、五島への愛情いっぱいの熱い想いを感じることができました。

わたしたちにできることは?

様々な企業がそれぞれに工夫をし、社会課題解決のためイノベーションをおこしています。皆さんが生活者として商品を購入するだけでなく、企業の株式を購入することで、社会課題に取り組む企業を応援することができます。そして、その結果、株主優待制度などを通して、NPO団体などへの寄付につながる企業もあります。株主として配当金を受け取りながら、株主優待制度で寄付もできます。経済的価値を享受しながら、社会的価値も生み出せるのです。

まだまだ投資はハードルが高いという印象を持っている方も多いかもしれません、しかし現在では100円から投資ができたり、ポイント投資ができるなど手軽に投資を始めることができます。まずは投資を始めてみませんか?

また、個別株だとハードルが高いという方もいるかもしれません、そんな方にはNISA対象の投資信託などから始めることもできます。三井住友DSアセットマネジメントのクライメート・ソリューション・ファンドでは、投資テーマの一つに、今回紹介した洋上風力等の電力供給が含まれ、貢献度の高い企業への投資を通じ、気候変動問題の解決を後押しします。※上記の企業に投資するとは限りません。

(出所)三井住友DS アセットマネジメントの資料よりSMBC日興証券作成

まとめ

今回の長崎県五島市のツアーを通して、遠目でもわかる透き通るきれいな海、椿をはじめとした美しい木々と、豊かな自然を堪能できました。未来の世代まで、この美しい豊かな自然をつなぐため、環境問題を自分事化して、私たちができることをしていかなければと改めて感じたツアーでした。

Money for Good」では、お金の流れで社会課題の解決を目指しています。社会も、自分自身の生活も持続可能なものにするために、日ごろから小さなできることを積み重ねていく。社会を良くしようとしている企業を応援してみる。あなたのできる一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

この記事がいいなと思ったかたは、「スキ」を押していただくと、1スキあたり10円でSMBC日興証券がNPO団体へ寄付させていただきます。社会をより良くする一歩を、まずはここから。

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